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日本の鳥類

日本の鳥類

日本で確認されている鳥類は約600種になります。ユーラシア大陸に沿って細長い日本列島は渡り鳥が多く、カムチャッカ半島、シベリア大陸、北極圏、朝鮮半島などから越冬のために渡来する鳥類(冬鳥=ジョウビタキ、ツグミ、オオハクチョウなど)やマレーシア、フィリッピンなど東南アジアから繁殖のために渡来する鳥類(夏鳥=ツバメ、キビタキ、コマドリなど)がいます。また、渡りの中継地として一時的に立ち寄る鳥類(旅鳥=エゾビタキ、ムギマキ、シギ類など)、本来の生息域から外れて渡来する鳥類(迷鳥=ノハラツグミ、キアオジなど)なども見られます。この他、移動せずに一年中ほぼ同じ地域で過ごす鳥類(留鳥=スズメ、シジュウカラ、ハシブトガラスなど)、国内の高い山で繁殖し、低地で越冬する鳥類、または北方で繁殖し、南方で越冬する鳥類(漂鳥=ルリビタキ、カヤクグリ、ビンズイなど)などがいます。日本は留鳥や漂鳥よりも渡り鳥の方が多く、全種数の半分以上を占めています。
鳥類は哺乳類と同じように動物地理区など分布の境界によって、異なった種が生息しています。津軽海峡のブラキストン線以北の北海道では、シマフクロウ、ヤマゲラ、ミユビゲラなどが生息しています。トカラ列島と奄美群島の間の渡瀬線以南では、ルリカケス、アマミヤマシギ、ノグチゲラ、ズグロミゾゴイ、カンムリワシなどが生息しています。
日本固有種には、メグロ、ルリカケス、アカヒゲ、アカコッコ、カヤクグリ、セグロセキレイ、アオゲラ、ノグチゲラ、アマミヤマシギ、ヤンバルクイナ、ヤマドリ、キジ、ノグチゲラなどがいます。南西諸島や小笠原諸島など島に生息する種が多く、それらは分布域が狭いため、絶滅が心配されています。日本固有種ではありませんが、日本だけで繁殖、または日本が主な繁殖地である種に、ノジコ、ミゾゴイ、オオジシギ、イイジマムシクイ、オオセッカ、カンムリウミスズメ、クロウミツバメなどがいます。これらは、分布域が狭く世界的にも貴重な種です。
日本は周りを海に囲まれていることから、ミズナギドリ類、ウミスズメ類、カモメ類、海ガモ類など、海洋性の鳥類も多く見られます。


北海道の鳥類

釧路湿原、根釧原野、サロベツ原野など広大な原野のある北海道は、草原や低木林に生息する鳥類が豊富です。エゾセンニュウ、マキノセンニュウ、コヨシキリ、ノビタキ、ノゴマ、アオジ、シマアオジ、オオジュリン、ベニマシコ、オオジシギなどが繁殖し、農耕地や牧場周辺にも生息しています。タンチョウは東部の湿原で繁殖し、近年は分布が拡大傾向にあります。冬は多くが釧路地方に集まり、給餌場で多数が見られます。
夏の森林では、コマドリ、キビタキ、ルリビタキ、ウソ、クロジ、ヒガラなどが目立ち、ハイマツ帯ではギンザンマシコやノゴマが見られます。低地のエゾマツなどの亜寒帯林には、本州では亜高山帯で繁殖するウソやルリビタキが見られます。留鳥として平地から山地で見られるカケス(ミヤマカケス)、エナガ(シマエナガ)、ゴジュウカラ(シロハラゴジュウカラ)などは、本州とは亜種が違うため、体色や模様が少し異なります。
冬の原野や林では、北方からユキホオジロ、ベニヒワ、ハギマシコなど小鳥類の群れが渡来し、シロフクロウやシロハヤブサは稀に見られます。オホーツク海沿岸では、魚類や海鳥を補食するオオワシとオジロワシが多数見られます。
国内最大のフクロウであるシマフクロウは、道東を中心に130羽程度が生息していると考えられています。これに次ぐ大型のワシミミズクと小型のキンメフクロウは、近年、少数の繁殖が確認されています。この他、冬鳥のコミミズク、夏鳥のコノハズク、オオコノハズク、アオバズク、留鳥のフクロウなどが生息しています。
北海道に生息するキツツキ類の種類は多く、本州に見られない種はミユビゲラ、コアカゲラ、ヤマゲラなどです。クマゲラとアリスイ(繁殖期)は東北地方北部にも少数が生息しています。本州に広く分布しているアカゲラ、オオアカゲラ、コゲラなども生息していますが、アオゲラは北海道では見られません。
海鳥では、ウミガラスは天売島、チシマウガラス、エトピリカ、コシジロウミツバメなどは道東の島で、少数が繁殖しています。ケイマフリ、ウトウ、ウミスズメ、オオセグロカモメ、ウミネコなども島や岸壁で繁殖しています。冬季はこれらに加えてコオリガモ、シノリガモ、ワシカモメ、シロカモメなどが海上に見られます。


本州の鳥類

中部地方には日本の屋根とも言われる日本アルプス、八ヶ岳、白山、富士山など高山帯が連なっています。夏のハイマツ帯や岩場にはイワヒバリ、カヤクグリ、ライチョウ(南・北アルプス、新潟県の火打山、焼山のハイマツ林や草原だけに生息)などが生息しています。ハイマツ帯から下部の亜高山帯針葉樹林には、ホシガラス、ルリビタキ、メボソムシクイ、ウソ、キバシリなどが生息しています。
低山帯のブナやミズナラ、カエデ類などの落葉広葉樹林は自然の豊かな環境です。コマドリ、コルリ、マミジロ、アカハラ、キビタキ、コガラ、ゴジュウカラ、エゾムシクイなど多くの鳥類が生息しています。山間の河川や沢、湖などにはヤマセミ、アカショウビン、ミソサザイ、オシドリ、オオルリなどが見られます。カッコウ類は、カッコウ、ホトトギス、ツツドリ、ジュウイチが夏鳥として渡来します。クロジの繁殖分布は狭く、中部以北のササ類の多い森林で局地的に見られます。秋冬期は中部以南の低地の暗い林で数羽の群れで過ごしています。
山麓は人手が入っていますが、コナラやクヌギなどの雑木林には、シジュウカラ、ヤマガラなどのカラ類、メジロ、エナガ、コゲラなどが留鳥として生息しています。冬鳥として、アトリ、カシラダカ、ジョウビタキ、シロハラなどが、日本より北の地域から渡来します。スギ、ヒノキ、カラマツなど針葉樹の人工林は、単純な鳥相になっていますが、ヒガラ、キクイタダキなどが好んで生息し、オオタカ、ノスリ、ツミなどの猛禽類が営巣地として利用しています。サンコウチョウやミゾゴイなど照葉樹林の鳥類は、暗いスギ林でよく見られます。山麓から低山で近年減少している夏鳥に、ミゾゴイ、サンショウクイ、コサメビタキ、ブッポウソウ、ヨタカ、コノハズクなどがいます。減少の原因はよくわかっていませんが、国内の環境破壊だけではなく、越冬地の環境悪化も指摘されています。
山地の草原や湿原には、ノビタキ、ホオアカ、コヨシキリ、セッカ、オオジシギなどが夏鳥として渡来します。日本だけで繁殖するノジコは、本州の中部から北部の湿地付近の林に局地的に生息しています。低地の草原や湿原、水田などでは、オオヨシキリ、ヨシゴイ、タマシギ、ヒクイナなどが繁殖していますが、開発によって生息環境が減少しています。数の少ない種として、オオセッカは東北から関東の海岸近くの湿原、コジュリンは中部と北部の湿原、チュウヒは中部以北のアシ原で、局地的に繁殖しています。ベニマシコ、シメ、オオジュリン、アリスイなどは、東北地方北部の一部で繁殖していますが、北海道では普通に繁殖しています。冬季は東北地方以南に渡ります。
川や水田では、コサギ、アマサギ、アオサギ、ゴイサギなどのサギ類、カモ類などが見られ、河口の干潟や砂浜は、シギ類やチドリ類の渡来地になっています。湖沼にはカモ類やハクチョウが冬鳥として渡来します。オオハクチョウやコハクチョウは、主に東北地方に渡来し、ガン類の渡来地は、宮城県の伊豆沼周辺、新潟県の鳥屋野潟周辺、中国地方の宍道湖・中海などが有名です。国内で野生個体が絶滅したコウノトリとトキは、復活に向けて環境整備と放鳥などが行われています。
猛禽類には絶滅が心配されている種が多く、イヌワシは岩場の多い山地や高山帯に局地的に分布し、クマタカは低山帯に広く生息しています。サシバは夏鳥として渡来し、丘陵地や里山の農耕地周辺に生息していますが、宅地開発や農耕地の減少などにより個体数が減っています。オオタカは、主に中部以北で繁殖していましたが、近年は西日本でも増え、山麓から亜高山帯まで広く分布しています。ハヤブサやチョウゲンボウは、近年、都市部で繁殖する例が増え、ビルや橋梁など建造物を利用しています。フクロウ類は、フクロウ、オオコノハズクは留鳥として生息し、夏鳥としてコノハズク、アオバズク、冬鳥としてコミミズクが渡来します。トラフズクは本州中部以北で繁殖し、本州以南で冬を越しています。
山形県の飛島や能登の舳倉島、山口県の見島など、日本海側の離島は、移動途中の鳥類が立ち寄ることで知られています。珍鳥や迷鳥が見られ、本土にはほとんど飛来しない種が見られることもあります。


四国・九州の鳥類

基本的には本州の鳥類相とかわりませんが、亜高山帯や高山帯がないため、高い山地に生息する種や北方系の鳥類は少ないです。羽色の美しいヤイロチョウは、夏鳥として一部の地域に極めて少数が渡来します。九州南部に生息する亜種コシジロヤマドリは5亜種のうちもっとも赤みが強く、腰の白いのが特徴です。
冬鳥として、主に西日本に渡来するコクマルガラスとミヤマガラスは、九州に多く、近年は分布を東に広げています。鹿児島県出水市のツルの越冬地では、多数のナベヅルとマナヅルに、少数のクロヅルが飛来します。
対馬は大陸と日本本土を結ぶ渡り鳥や旅鳥の中継地点になっています。春にはヤマショウビン、キマユホオジロ、レンカク、シマノジコ、オウチュウなどが記録されています。
また、秋には朝鮮半島から10数万羽に及ぶアカハラダカの大群が渡りの途中に上空を通過していきます。玄界灘を渡って九州を南下し、琉球列島を通って、フィリピン、インドシナ半島の方に渡ります。


南西諸島の鳥類

南西諸島には特有の種が多く、固有種として、ルリカケスは奄美大島、加計呂麻島、請島だけに、オオトラツグミは奄美大島、加計呂麻島だけに、アマミヤマシギは奄美群島と沖縄諸島にだけに、ノグチゲラとヤンバルクイナは沖縄本島北部だけに生息しています。アカヒゲは南西諸島の他に男女群島にしか生息していません。固有亜種のオーストンオオアカゲラは奄美大島だけに生息しています。本土と違う亜種も多くイシガキヒヨドリ、イシガキシジュウカラ、リュウキュウキビタキ、リュウキュウサンショウクイなどは留鳥で、リュウキュウアカショウビン、リュウキュウサンコウチョウは夏鳥、シマアカモズ、ハチジョウツグミなどは冬鳥として渡来しています。オリイヤマガラは、西表島だけに生息する固有亜種です。
本土では見られない種には、カンムリワシ、キンバト、ズグロミゾゴイ、リュウキュウコノハズク、ズアカアオバト、シロガシラ、ミフウズラ、オオクイナなどがいます。これらは留鳥として周年生息しています。他の地域でも記録がありますが、 留鳥のツルクイナ、シロハラクイナ、ムラサキサギなどは、国内では南西諸島を主な生息地とする種です。
夏鳥として渡来するベニアジサシ、エリグロアジサシ、マミジロアジサシなどは、国内では南西諸島を中心に繁殖しています。
数が少ない旅鳥または冬鳥として、ツメナガセキレイ、キガシラセキレイ、マミジロタヒバリ、ムネアカタヒバリ、ベニバト、ヤツガシラ、ホシムクドリ、カラムクドリ、ギンムクドリ、オウチュウ、アカガシラサギ、クロツラヘラサギなども見られます。稀な迷鳥として、八重山諸島にヤマショウビン、ナンヨウショウビンなどの記録があります。

参考文献
高野伸二編 『フィールドガイド日本の野鳥【増補改訂版】』財団法人日本野鳥の会2008年
真木広造・大西敏一 『日本の野鳥590』 平凡社 2000年

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