Wildlife Museum

神奈川の野生動物

神奈川の鳥類

神奈川の鳥類相

神奈川県で記録された鳥類(在来種)は358種となっています。(20世紀神奈川の鳥、県鳥類目録(Ⅳ)、日本野鳥の会神奈川支部、2002)。神奈川県は、北部と西部に丹沢、箱根、小仏山地があり、相模川を挟んで東側は平野や丘陵地になっています。大きな河川には酒匂川、相模川、多摩川があり、相模湾と東京湾に流れています。このような多様な環境が、多くの鳥類を育んでいます。

山地には、コノハズク、オオアカゲラ、コマドリなど深山性の鳥類や、クマタカ、ハイタカ、ノスリなどの猛禽類が見られます。渓流や湖ではヤマセミ、オシドリ、オオルリなどが見られます。箱根には山地の草原があり、仙石原は、ホオアカ、アオジ、ノジコ、オオヨシキリなどが繁殖する、県内随一の草原性鳥類の繁殖地です。河川やその河口は、カモ類やカモメ類の飛来地になっています。以前は少なかったカワウとアオサギが増加し、最近は繁殖もするようになっています。中流から河口では、イカルチドリやコチドリ、コアジサシの繁殖地が河川敷の人的な過剰利用などによって危機的状況にあります。平野部に広がる水田地帯は、個体数の減少が著しいヒクイナやタマシギなどが繁殖し、淡水性のシギ類の貴重な渡りの中継地になっています。
海岸の砂浜や干潟では、シギ類やチドリ類が少数ですが見られ、三浦半島や真鶴半島の岩礁地帯はクロサギの繁殖地になっています。三浦半島の城ヶ島にはウミウの集団越冬地(県指定天然記念物)があります。
豊かな鳥類相を有する一方で、外来種の増加が心配されます。中国原産の外来種であるソウシチョウとガビチョウの増加は著しく、山地の自然林内でも目立っています。

丹沢の鳥類

丹沢山地とその周辺地域では、244種の鳥類が記録されています。そのうち外来種は15種1亜種です。この記録は、丹沢山地を含む市町村域を対象としているため、市街地や水辺など広い範囲が含まれた結果です。山地に限定すると、このうち160種ぐらいが丹沢山地の鳥類といえます。

<春から夏>

沢沿いではオオルリが多く、山麓のスギやヒノキの植林地ではサンコウチョウが見られます。キビタキとクロツグミは山麓からブナ林まで広く生息しています。ブナ林には、アカハラ、マミジロ、コマドリ、コルリなどが生息しています。稜線部では、ルリビタキやカッコウなどの囀りが聞かれ。少数ですが、クロジが繁殖する地域もあります。アカショウビンの鳴き声が、湖や沢沿いで聞かれますが、少ないためなかなか姿を見ることはできません。アオバトは主に夏期に生息しますが、少数は越冬しています。夏に大磯の海岸まで行き、海水を飲むことが知られています。 夜になると、ホトトギス、ジュウイチ、トラツグミなどの声がよく聞かれます。

<秋から冬>

ウソ、ベニマシコ、マヒワ、カヤクグリ、ミヤマホオジロ、アトリなどが林縁に渡来します。稜線部や岩場では、少数ですがハギマシコやイワヒバリが渡来し、時にはオオマシコの姿も見られます。
丹沢湖と宮ヶ瀬湖や山間の河川には、オシドリ、マガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、カワアイサ、コガモ、ヨシガモなどが渡来します。オシドリは多数が渡来しますが年によって変動があります。トモエガモ、ウミアイサ、ミコアイサなどが見られることもあります。

<周年見られる鳥類>

コガラとゴジュウカラは、一年を通して標高の高いブナ林で見られ、ヤマガラ、エナガ、カケス、アカゲラ、アオゲラなどは広い範囲に見られます。スギやヒノキの植林地やモミなどの針葉樹林では、ヒガラとキクイタダキが目立ちます。クマタカ、オオタカ、ノスリ、フクロウなどの猛禽類も少なくありません。オオコノハズクの分布状況はよくわかりませんが、繁殖と越冬が確認されています。
下流の河川ではカワセミ、アオサギ、ダイサギ、イカルチドリ、セキレイ類など、上流域にはヤマセミ、カワガラス、ミソサザイ、キセキレイなどが見られます。

<丹沢の鳥類の動向と特徴>

近年、増加傾向にあるのは、ミサゴ、カワウ、アオサギ、イソヒヨドリです。ミサゴは宮ヶ瀬湖でよく見られ、一年を通して観察されています。カワウは宮ヶ瀬湖で繁殖し、アオサギは魚を求めて上流域にまでやって来ます。イソヒヨドリは川沿いの住宅地やダム周辺で見られ、繁殖もしています。
一方、ヨタカ、コノハズク、コルリ、コマドリなどの夏鳥は減少傾向にあります。草原や低木林を好むヨタカは、かつて拡大造林の盛んだった頃にはよく鳴き声が聞かれましたが、植林木が成長したため、最近では減少したのかも知れません。全国的にも減少しているそうです。コノハズクは、棲んでいた環境にあまり変化が認められませんが、姿を消した地域があります。このようなことは、越冬地である東南アジアの大規模な森林伐採が影響している可能性があります。コルリとコマドリは、増加したシカの食圧によるササ類など林床植生の消失が、原因の一つと考えられます。
崩壊地の進行やブナ枯れによって増加する種もあります。最近、山地の草原や崩壊地植生を好むビンズイが稜線部で目立つようになっています。
猛禽類では、オオタカとノスリは山の周囲を取り囲むように生息しており、クマタカはほぼ全域に分布し、ペア数は20くらいと考えられます。サシバ、ハチクマ、ハイタカは、まれな種です。
丹沢の鳥類の特徴は、最高峰(蛭ヶ岳1673m)が1700mに満たないにもかかわらず、ルリビタキやメボソムシクイなど本州では亜高山帯で繁殖する鳥類が繁殖することと、クロジの繁殖分布の南限になっていることです。ルリビタキはおもに1400mより上部の主稜線に生息し、メボソムシクイは丹沢山から大室山の稜線に少数が生息しています。クロジは、おもに日本海側のブナ林から北海道にかけて局地的に繁殖分布する種です。丹沢ではササのよく茂ったブナ林にわずか十数ペアが生息しているだけです。

さらに詳しい内容
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/05/1644/tanzawa/s-chousa_3/2007report/2007inventory05.pdf
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/05/1644/tanzawa/s-chousa_3/2007report/2007report2230.pdf

箱根の鳥類

急峻で険しい丹沢とは様相が異なり、箱根は1000mクラスの外輪山と中央火口丘からなり、中央に仙石原と芦ノ湖があります。仙石原の草原は開発によりだいぶ失われてしまいましたが、ススキ原と湿地草原が一部に残されています。箱根の特徴は、この草原にあります。丹沢と箱根の鳥類を比較すると図③のようになります。
ススキ原にはホオアカやセッカが、湿地のヨシ原ではオオヨシキリが繁殖しています。少数ですが、早川沿いではノジコが、草原の周辺ではアオジが繁殖しています。オオジシギは1985年頃まで繁殖していたようですが、現在は絶滅してしまいました。タマシギ、バン、ヒクイナ、ヨシゴイ、コヨシキリなども姿を消しています。
箱根は標高が低く、開発が進んでいることから、深山性の鳥類はあまり生息していません。今後、丹沢のようにシカが増加すると生息環境が破壊され、コマドリやコルリなどが姿を消していくおそれがあります。また、外来種であるソウシチョウとガビチョウの増加も心配されます。

さらに詳しい内容
http://nh.kanagawa-museum.jp/kenkyu/nhr/30/nhr30.html

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